前立腺がん検診を受診される方に

以下の文章をお読みいただき、ご理解のうえ受診されることをお勧めいたします
 前立腺がんとは

前立腺は、膀胱の下方、直腸の前方にあるクルミ大の臓器で、男性にしかありません。
尿の通り道である尿道を取り囲む形のため、前立腺に異常があると「尿が出にくい」「回数が多くなった」などの症状を伴うことがあります。
前立腺がんは、この前立腺にできるがんで、近年わが国では年間約10,000人がこの病気で死亡していると推定され、男性のがんの中では8番目の死亡原因となっています。
日本においては、高齢化や食事の欧米化の影響等で、今後患者数が増加すると予想されており、中高年男性において注意すべき病気のひとつです。
年齢が高くなるにつれ、前立腺がんにかかる可能性が高くなり、また家族の方に前立腺がんにかかられた方がいる場合は前立腺がんになる確率が高くなるといわれています。
 前立腺がん検診の方法について

採血検査(前立腺特異抗原(PSA)検査)を行います。

PSAは前立腺に特異的なたんぱく質の一種で、血液中の値が高くなるにつれて、がんの確率が高くなってきます。
前立腺がんのスクリーニング検査の中ではもっとも有用と考えられており、墨田区でもこの検査を前立腺がん検診として位置づけています。(ただし前立腺肥大症などの他の前立腺の病気でも高くなることがありますので、高い場合は必ず医師に相談してください。)
 前立腺がん検診の利点・欠点・不明確な点
利点
症状が出てきてから診断される前立腺がんの約30%は既に骨などに転移しています。
症状がない時期にPSA検査を用いた前立腺がん検診を行なうと、早期に発見できる可能性が高くなります。

不明確な点
前立腺がん検診を行うことにより、前立腺がんによる死亡率が下がるかどうか、現在欧米で大規模な研究が進められていますが、最終結果はまだ出ていません。(オーストリアの研究では下がるという報告があります。)
欠点
PSA値が上昇しない前立腺がんも2〜3%あり、PSA検査で診断できないことがあります。
逆にPSA値が高値でも、全て前立腺がんと断言することはできません。そこで、前立腺がんの可能性があると判断された場合は2次検査が必要になります。

  前立腺がん検診を受診された方へ  

 PSA値が異常(基準値を超えている)の場合
医師の指示に従い、たとえ症状が無くても、ぜひ2次検査をご受診ください。
 2次検査について
一般的にPSA値再検、直腸診、前立腺超音波検査などの、からだに負担の少ない検査を実施します。2次検査で前立腺がんが疑われる場合には、前立腺生検を行うことがあります。
                 墨田区医師会前立腺がん検診部会

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